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都教委への要請文書

都公退教連 第601号

令和6年11月29日

東京都教育委員会

教育長  坂本雅彦 様

東京都公立学校退職教頭・副校長会連合会

会 長      大 西 規 子 

東京都公立小学校退職教頭・副校長会

東京都公立中学校退職教頭・副校長会

東京都立学校退職教頭 ・ 副校長会

 

要   請  書

 

 第4期教育振興基本計画が策定され、教育は大きな転換期を迎えています。教育は家庭を基盤として、社会を牽引する駆動力の中核を担う営みであることから、新たな学びの在り方とそれを実践できる教職員の人材確保、時代の流れを見据えた学校の組織体制の確立が、超スマート社会(Society5.0)をよりよい社会にする鍵となると私たちは考えます。その実現のために、私たち東京都公立学校退職教頭・副校長会連合会では、退職後も次代を担う子供たちの「生きる力」の育成に一層の努力をし、家族を愛し持続可能な社会の創り手の育成に向け、それぞれの立場で関わり、東京都の教育のために尽力して参ります。

 東京都公立学校退職教頭・副校長会連合会では、都民や学校現場からの教育への課題が多く寄せられております。私たち東京都公立学校退職教頭・副校長会連合会では、豊かな教育を実現するために、教職員の資質の向上と人材の確保が不可欠であるとの認識をもっております。

 そのために、以下の項目について要望いたします。

 

要 望 項 目

1,「学校における働き方改革」の一層の推進のために、学校教育の質の向上と学校の組織運営を支援する都としての施策について

(1) 教員の持ち時数の改善について

 昨今の取り組むべき教育課題が山積する中で、持ち時数以外の校務や対応で、本来ならば時間をかけるべき不登校対策や特別な支援を必要とする児童・生徒対応に十分な手がかけにくい実態があります。都立全日制高等学校の講師算定基準と同等の「持ち時数18時間」への見直しの予算措置を要望します。

(2)教職員定数加配による学級人数の見直しについて

 子どもたち一人ひとりへのきめ細かな教育を実行し、児童・生徒指導上の諸課題等の解決を図るには一つには教員定数の改善が考えられます。義務教育学級編成標準法の改正により、国の制度負担において、国の標準を、小・中学校ともに全学級での35人以下学級等の少人数学級とする必要があります。35人学級の早期実現を要望します。

(3)非常勤講師の執務環境の改善について

 ICT環境が非常勤講師には整っていません。パソコンが1人1台確保されていること、それが印刷できること、程度の環境で十分です。東京都並びに区市町村教育委員会へのご指導を要望します。

(4)教員の待遇改善について

 教員給与の低さとバランスの悪い業務内容等から教員への担い手不足が深刻化しています。都の手当ての検討と、超過勤務軽減に向けての取り組みを要望します。

 

2,副校長及び教職員の地位向上の施策について

(1)副校長の業務改善について

 副校長の業務は、非常勤講師の任用の手続き、様々な学校の支援員等の服務管理、老朽化した校舎等の管理の業務、働き方改革により新たに導入されたシステム等への対応の影響もあり、教職員の勤務時間が減少した一方、これまで以上に副校長の対応の幅が拡大し勤務時間が増加する傾向にあります。このことについての改善を要望します。

(2)副校長の業務補佐について 

 多忙な副校長を補佐するため、副校長マネジメント支援員や非常勤教員が配置されていますが、副校長との役割分担が校長等との間での話し合いが十分に行われていないために配置はされたものの活用されていないという声があり、この点での改善を要望します。また、情報化時代の対応として、情報担当並びにホームページの管理など専門員の配置を要望します。また、学校は、謂われのない非難や中傷に悩まされる事案が増加しています。これに対応するためには、教育法に詳しい弁護士の配置を要望します。

(3)副校長の長時間勤務の改善と処遇改善について

 副校長は、相変わらず長時間の超過勤務に携わっています。教員の勤務時間の改善と共に緊急の課題となっています。また、 校長の補佐職について、副校長は、上司である校長を補佐し、校長の経営方針を具現化するために努力しているにもかかわらず、いわゆるパワーハラスメントに耐えているという声があります。このような場合の副校長の支援を要望します。

(4)配慮の必要な教職員の対応について

 異動などにより、配慮の必要な教職員を配置された時の現場の負担は大きいものがあります。病休や通院の状況について、あるいは授業や保護者対応についての記録の蓄積は、副校長への負担になっていることが少なくありません。未配置の教科がある中で、後補充探しでの副校長の負担は、さらに大きなものがあります。この点での改善を要望します。

 

3.教育一般について

(1)部活動の見直しと改善について

 部活動の地域スポーツクラブ等への移行が求められ、学校のスリム化が進んでいます。一方で、スポーツ等の指導者の不足している地域や、保護者の金銭的負担などの家庭状況の差において格差が生じている地域もあります。中学校体育連盟の取り組みにより全国大会が見直され、勝利至上主義の部活動が見直されていることを、より確かなものにするためにも、数校で取り組む合同部活への移行やスポーツ外部指導者の待遇改善・保護者の費用負担への支援について要望します。

(2)不登校について

 それぞれの児童・生徒が自己実現に向けて、どの子も見落とされることなく手だてを講ずるとの教育委員会の取り組みには敬意を覚え感謝しています。共生社会を実現していくうえで、多様性を前提とした学習者の視点に立ち、誰もがいつでもどこからでも、誰とでも自分らしく学ぶことができ、誰一人取り残されず一人一人の可能性が最大限に引き出されるという方針には賛成です。不登校対応の一層の取り組み強化を要望します。

(3)地域の学校間格差改善について

 予算、人材や設備において区市町村による地域や学校間格差が大きくなっています。例えば、部活動予算や部活動講師報償費などの地域間格差があります。また、校舎の管理への対応が地域や学校によって遅いように思います。校舎の老朽化等は、学校独自では解決できない場合が多々あります。区市町村の改築計画には、予算状況も異なり、優先順位も異なることから、地域差があります。区市町村が改築を進めるに当たり、学校施設についての補助や地域格差の改善を要望します。

(4)教員志望者への情報の発信について

 今年度も教員の確保が十分とはいえず、中学校でも英語や技術・家庭科等で欠員となっている状況があります。小学校でも、教員の急な休みに対応できず、副校長に負担が集中している学校もあります。教職希望の学生の意見の中には、「ライフワークバランスが取れていない職場」だと捉える人や、学生の保護者の中にも、教職への不信感がぬぐえない人もいる、とも聞いています。給与面だけではない「教職の魅力」について、都民や学生への発信を要望します。

以上

 

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